21世紀を平和な時代にすることは誰しもが願っていることでしょう。しかし、
9・11で幕開けとなった21世紀は、平和を願うあらゆる人々の知恵と発想を結
集せねばならないほどの困難な事態に直面しています。また、第二次世界大
戦終結60周年を迎え、日本の平和教育の基礎となってきたアジア太平洋戦
争の体験は社会的に風化され、平和主義原理の中心である日本国憲法第9
条の改定も声高に議論されるようになっています。
このような状況の中で、子どもや若者たちに平和を伝え、新しい時代を切り
拓いていこうと模索している教師は少なくないでしょう。地域の中で、周りの人
たちと平和について学びあい、少しでも平和な社会を築きたいと考えている人
たちもいるでしょう。
しかし、どうすればよいのか、その方向性と具体的な方法に戸惑い、逡巡し
ているのが現実ではないでしょうか。日本の平和教育は、世界に誇れるだけ
の蓄積と歴史があります。そのすばらしい経験を受け継ぎつつ、新しい平和
教育を創造していくことが今必要とされていると、私たちは考えます。「20世
紀の平和教育」を批判的に継承しながら、「21世紀の平和教育」を創り上げ
る−そのための理論から学びあっていくことが、「平和教育学研究会」の目標
です。
具体的には、以下のような研究課題を考えております。
@これまでの日本の平和教育の蓄積
A海外の平和教育の理論と実践
B「平和の文化」を創造する国際的動向
C教育学・心理学的視点からの平和学
D人権教育・開発教育・環境教育・国際理解教育などと
平和教育の関連性
E平和博物館などの社会教育やNGOなどの教育活動の経験
F非暴力的方法による紛争解決学習
これらのテーマは、「21世紀の平和教育」を豊かなものにしていくために避
けて通ることができないと思います。 「21世紀の平和教育」を創りたい、知り
たい、考えたい、という、一人でも多くの方々と、共に学びあっていきたいと考
えております。
2005年6月
呼びかけ人: 竹内 久顕 ( 東京女子大学教員 )
上條 直美 ( 明治学院大学国際平和研究所助手 )
小島 健太郎 ( 成蹊高等学校教員 )
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